高配当株投資を始めたいけど、どの銘柄がいいか分からない…」
そんなお悩みありませんか?
実は、私たちの生活に直接なじみは無くても社会に絶対必要とされる堅実なビジネスで安定した配当を出している「隠れた優良企業」があるんです。
それが今回ご紹介する綜研化学です! なぜこの会社が投資家に注目されるのか、そのヒミツを一緒に見ていきましょう!
本サイトでは
「高配当株投資、始めてみたいけど何から手をつけたらいいんだろう…」
「インデックス投資の次に、個別株にも挑戦してみたい!」
もし一つでも当てはまったら、この記事はきっとあなたの役に立つはずです。
この記事を読み終える頃には、澁澤倉庫がなぜ「隠れた優良高配当株」と呼ばれるのか、その理由がしっかり分かるようになっていますよ。
そもそも綜研化学ってどんな会社?
主な事業は
・ケミカルズ事業
・装置システム事業
の2つになります!

二つの事業の比率について見てみましょう!
この図からわかるように、約95%が化学について多いことが分かります。
ケミカルズ事業

ケミカルズ事業(化学事業)と聞くと、少し身構えてしまいますよね。しかし、作ってるものはわかりやすくて主に「ものをくっつける」素材を作っているのです!
綜研化学は主な4つ柱で成り立っています。
1. 粘着剤(ねんちゃくざい)
これが綜研化学の大黒柱です。特に、高度な分子設計技術を駆使して作られるアクリル系粘着剤「SKダイン®」というブランドが有名です。
- 何に使われる?
- スマートフォンやタブレット: 液晶ディスプレイの中で、光を調整するフィルムなどを貼り合わせるのに使われています。透明度が高く、かつ長期間使っても劣化しない、非常に高い技術が求められる分野です。
- 自動車: 車の内装や外装の部品を固定したり、塗装を保護するフィルムに使われたりします。
- 両面テープやラベル: 私たちの身の回りにある様々なテープやシールの「くっつく」部分を担っています。
2. 微粉体(びふんたい)
これは、独自の技術でつくられた「機能を持つ、非常に小さな粒子」のことです。
「ケミスノー™」というブランドで展開されています。
- 何に使われる?
- 液晶ディスプレイ: 光を様々な方向に拡散させて、画面を明るく、見やすくする「光拡散剤」として活躍しています。
- 塗料: 塗料に混ぜることで、光沢を抑えたマットな質感(艶消し)を出すことができます。
- 化粧品: ファンデーションなどに配合され、肌のテカリを抑えたり、滑らかな感触を出したりします。
3. 特殊機能材
これは、綜研化学が長年培ってきた重合技術(分子を長くつなげる技術)から生まれる、特殊な性能を持ったポリマー(高分子)製品です。
例えば、特定の物質を分散させたり、静電気を防いだり、柔らかさを調整したりといった、ニッチだけれども重要な役割を担う材料を開発しています。
- 何に使われる?
- 分散剤: インクや塗料、電子部品の材料が均一に混ざるようにするための添加剤。
- 樹脂の改質剤: プラスチックに混ぜ込み、柔らかくしたり、衝撃に強くしたりする性能向上剤。
- 性能調整剤: 粘着剤に少量加え、粘着力を微調整したり、特殊な機能を追加したりする材料。
4. 加工製品
これは、上記でつくった粘着剤や機能材を、テープやフィルムの形に加工した製品です。
例えば、工業用の高機能な両面テープや、特定の機能を持たせたフィルム製品など、顧客がすぐに使える最終製品に近い形で提供しています。
- 何に使われる?
- 工業用両面テープ: スマートフォン内部の部品固定や、自動車のエンブレム接着など、ネジの代わりとして使用。
- 表面保護フィルム: 自動車のボディや金属板、スマートフォンの画面を製造・輸送中の傷から守るためのフィルム。
- 半導体製造用テープ: 半導体の材料をチップに切り分ける際に、固定するための特殊なテープ。
装置システム事業

装置システム事業とは、簡単に言うと、自分たちの作る商品を生産する機械を開発し、顧客に提供することです。
これは、長年の化学製品開発で培ったノウハウにより、最高の品質と効率で生産を可能する機械を作ることができるのです。
主に以下のような装置を提供しています
- ラミネーター: スマートフォンなどの製造ラインで、フィルムを気泡なく精密に貼り合わせるための装置です。
- 塗工機(コーター): 粘着剤などの液体を、フィルムや紙に均一に塗るための機械です。
- UV(紫外線)照射装置:UV(紫外線)を照射し、インクや接着剤を瞬間で硬化させるための装置です。
財務について深堀り!!

さて、綜研化学の事業がいかに強固か、お分かりいただけたかと思います。
とはいえ、ビジネスの世界では「外見」が良くても「中身」が伴っていなければ意味がありません。 人間で言えば、どんなに元気そうに見えても体の中に病気”が隠れていたら大変ですよね。
そこで私たち投資家は、企業が本当に健康かどうかを見極めるために、会社の「健康診断書」をチェックするんです。
それが、今回見ていくのが「決算書」
さあ、この診断書を一緒に読み解いて、綜研化学が本当に健全な優良企業なのか、調査していきましょう!
(データはIR BANKを基にしたものです。https://irbank.net/E01055/results )
売上高
売上高(企業が製品やサービスの販売から得た収入)について見ていきましょう。

年によって増減はありますが長期的に見れば右肩上がりであり長期投資家とすれば十分期待できますね。
2009年のリーマンショックにより綜研化学の主力製品が使われる薄型テレビや自動車業界が大打撃を受け、2017年まで300億円の大台を超えることがなかなかできませんでした。
しかし、2018年に高機能スマートフォンの登場と電気自動車の到来により、長年超えることができなかった、300億円の壁を壊しました。
そして2024年以降は400円台を大きく超え、最近は過去最高の売上高を更新しています。そして、今後は、次世代通信(6G)や新しいディスプレイ技術、EVのさらなる普及に期待でき、今後の成長も期待できます。
営業利益と営業利益率
お金の効率よく稼いでいるかわかる営業利益・営業利益率(売上高からコストを引いて残った本業の儲け)について見ていきましょう。


営業利益、営業利益率を見ると、売上高の時も書いたように、リーマンショックから大きく成長するまでの時間はかなり大変であったことが分かりますね。
2026年の営業利益が売上高が増収にもかかわらず営業利益が下がる見込みとなっています。これはいったい何が原因なのでしょうか?
これは企業の成長が止まったサインではありません。そこには未来に向けた「2つの理由」が隠されていました。
まず一つ目の理由は、事業の成長に伴うコストの増加です。
しかも未来の売上をさらに大きくするための「攻めのコスト増」と捉えることができます。
主に電気自動車や次世代のスマートフォンで競争で勝ち残るための投資や新しい事業開発、セキュリティーの向上のため、攻めのコストといえます。
二つ目の理由は、中国との為替の影響です。
綜研化学は海外でも事業を展開しており、特に中国の売上は大きな割合を占めており、海外で稼いだ売上は日本円に換算されます。
ゆえに円と元(中国の貨幣の単位)の為替が円高になることで大きく減益をしてしまいます。したがって、綜研化学は為替の影響を見込んで少し慎重な利益予想を立てているというわけです。
2026年の「増収減益」予想は積極的な投資と為替が大きな理由と分かりました。企業の成長力そのものが衰えたわけではないため、投資家としては、むしろ将来に向けた準備期間として前向きに捉えることができるのではないでしょうか。
経常利益
会社全体の総合的な稼ぐ力を示す経常利益(本業の利益に、投資や利息などの本業以外の損益を加えたもの)を見ていきましょう。

営業利益のグラフと同じような動きをたどっていることが分かりますね。ここに関しては特に言及することはなさそうですので、次にいきましょう。
配当金と配当性向
さあ、いよいよ本題の核心です。企業の、私たち投資家への愛情が分かる配当金(株主に還元する金額)と、その健全性が分かる配当性向(企業が得た利益の何割を株主に還元しているか)を見ていきましょう。

一株当たりの配当金を見てください。リーマンショック後は配当額18円で続いています。
これは不安定の時期でも決して私たち投資家へ還元を忘れない経営陣の誠実さを強く感じます。
2017年以降、会社の業績や回復・成長期に入ると、それに合わせて配当も段階的に引き上げられています。特に2018年には35円へと大きく増配しており、「会社の成長の果実は、株主と分かち合う」というメッセージが明確に読み取れます。
そして圧巻なのが、2021年以降の爆発的な増配です。わずか数年で配当額が2倍以上に増えています。これは、スマホやEV向け事業の成功によって会社の「稼ぐ力」が劇的に向上し、その利益がダイレクトに株主に還元されていることを示しています。
2026年も最高額を維持する予想となっており、株主還元の新しいステージに入ったことが分かります。

2012年に配当性向が70%を超えています。これは、利益が少ない中でも無理をして18円の配当を維持したことを意味し、当時の経営陣の株主還元への強い意志と、ある種の「苦闘」がうかがえます。
綜研化学のここが強い!
財務の健全性は、いわば企業の「守りの強さ」。ここからは、将来の成長に繋がる「攻めの強さ」、そして注意すべき点(リスク)を大きな視点で見ていきまししょう。
強み①:高い技術力とニッチ市場での独占力
スマートフォン内部の特殊なフィルム用粘着剤や、ディスプレイの光を制御する微粉体など、他社には真似できない「オンリーワン」の技術を数多く持っています。
特に高い品質が求められるニッチな市場で圧倒的なシェアを握っており、これが高い利益率の源泉となっています。
強み②:多様な事業ポートフォリオ
主力のエレクトロニクス分野(スマホなど)だけでなく、自動車、塗料、化粧品、医療といった全く異なる分野にも事業を展開しています。これにより、特定の業界が不調になっても、他の業界でカバーできるため、経営が安定しやすいという強みがあります。
強み③:健全な財務と高い株主還元意識
これまで見てきた通り、実質的に無借金経営に近い健全な財務体質を誇ります。その上で、苦しい時期でも配当を維持し、好調期には積極的に増配する姿勢は、株主を非常に大切にしている証拠です。これは長期投資家にとって大きな安心材料となります。
投資家なら知っておきたい3つのリスク
どんな優良企業にも、リスクは必ず存在します。それを正しく知ることが、私たちの投資の「武器」になります。
リスク①:スマートフォン市場への高い依存度
綜研化学は多様なポートフォリオを組み、特定の業種の依存は避けてはいます。
しかし、現在の高い成長は、高機能スマートフォンの進化に支えられている面が大きいです。そのため、スマホ市場が成熟したり、大きな技術変化が起きたりすると、業績が影響を受ける可能性があります。
企業の対策
自動車分野、特にEV(電気自動車)や自動運転関連への事業展開を加速しています。車に搭載されるディスプレイやセンサー、バッテリー関連部材は「第二のスマホ」とも言える成長市場であり、ここで新たな収益の柱を育てることでリスクを分散しています。
リスク②:原材料価格の変動リスク
会社の強みである都心一等地の不動産資産は、裏を返せば「自然災害のリスク」と隣り合わせであることを意味します。
特に、首都直下地震のような大規模な災害が発生した場合、歴史あるビルや倉庫が損傷し、多額の修繕費用が発生したり、賃料収入が減少したりする可能性があります。
資産が特定のエリア(特に首都圏)に集中しているからこそのリスクと言えます。
企業の対策
所有するビルや倉庫に対しては、定期的な耐震診断と、基準を満たさない建物への耐震補強工事を順次実施しています。また、災害発生時の事業継続計画(BCP)を具体的に定め、複数の輸送ルートを確保するなど、物流を止めないための訓練も行っています。
歴史ある建物を大切にしながらも、現代の安全基準に合わせて資産の強靭化を図っているのです。
リスク③:大手化学メーカーとの競争
綜研化学は優れた技術を持つ一方、企業規模では巨大な総合化学メーカーにかないません。体力勝負の価格競争や、大規模な投資が必要な分野では不利になる可能性があります。
企業の対策
「選択と集中」を徹底しています。大手が参入しにくい、非常に高度な技術と細かいニーズへの対応が求められる「ニッチ市場」に特化しています。顧客と深く連携してオーダーメイドに近い製品を開発することで、価格競争に巻き込まれない独自のポジションを築いています。
最後に
長い分析に最後までお付き合いいただいてありがとうございます。この記事を通して、綜研化学という企業の魅力に気づいていただけたなら幸いです。
短期的な株価の上下に一喜一憂するのではなく、企業の成長をじっくりと見守りながら、配当金という「金の果実」を長く受け取り続ける。そんな投資スタイルを目指す方にとって、この企業はとても魅力的なパートナー候補になりうるのではないでしょうか。
もちろん、どんな投資にもリスクはあり、将来を100%保証することは誰にもできません。この記事が、あなたが澁澤倉庫という企業を深く知り、ご自身の投資判断をする上での一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
ぜひ、ご自身の目でも、同社の公式サイトでIR情報などをチェックすることをおすすめします!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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