
高配当株投資を始めたいけど、どの銘柄がいいか分からない…」
そんなお悩みありませんか?
実は、私たちの生活に直接なじみは無くても社会に絶対必要とされる堅実なビジネスで安定した配当を出している「隠れた優良企業」があるんです。
それが今回ご紹介する澁澤倉庫です! なぜこの会社が投資家に注目されるのか、そのヒミツを一緒に見ていきましょう!
本サイトでは
「高配当株投資、始めてみたいけど何から手をつけたらいいんだろう…」
「インデックス投資の次に、個別株にも挑戦してみたい!」
もし一つでも当てはまったら、この記事はきっとあなたの役に立つはずです。
この記事を読み終える頃には、澁澤倉庫がなぜ「隠れた優良高配当株」と呼ばれるのか、その理由がしっかり分かるようになっていますよ。
そもそも澁澤倉庫ってどんな会社?
主な事業は
- 物流事業
- 不動産事業
の2つになります!
二つの事業の比率について見てみましょう!

この図からわかるように、物流事業が売上高の91%を占めており、日本のインフラを支えているのが分かります。
物流事業

(引用:https://www.spool.co.jp/service/logi/3pl/aboutlogistics.html )
澁澤倉庫の売上の9割を占める主要な事業です。
飲料やEC商品、さらにはBPO(日本酒輸出支援)やコンサルティングまで、専門性の高い物流サービスは、我々の生活に不可欠な安定事業であり、顧客企業からも揺るぎない信頼を勝ち取っています。
渋沢栄一翁から続く120年以上の歴史は、揺るぎない「信頼」という無形の資産を生み出し、業界課題である「2024年問題(輸送ドライバー不足)」には、AIやロボットで挑む「革新性」も兼ね備えています
この「歴史」と「革新」の二刀流こそが、他社にはない強みと言えるでしょう。
それは単なる倉庫業ではなく、未来へ続く「総合物流ソリューション企業」。
長期投資家にとって、これほど心強い事業内容は他にありません。
不動産事業

これは、自社で保有する優良な土地や建物を貸し出し、安定した賃貸収入を得る事業です。
特にこの企業は、賃貸の貸し出しのみならず、工事や清掃などのマネジメントサポートまで充実しています。
物流事業が受ける景気の波を吸収する、まさに会社の「安定収益エンジン」と言える存在。 しかも驚くべきことに、売上比率は約9%ですが、営業利益では全体の約4割を占める高収益事業なのです。
この盤石な不動産基盤が会社の財務を支え、物流事業の展開を有利に進めることを可能にしています。
投資家にとって、この揺るぎない収益源こそが、魅力的な高配当を生む安心材料なのです。
さらに、積極的な再開発によって、その資産価値を未来に向けて高め続けています。
攻めの「物流」と、鉄壁の守りを誇る「不動産」。この両輪が、長期投資の魅力を物語っています。
財務について深堀り!!

さて、澁澤倉庫の事業がいかに強固か、お分かりいただけたかと思います。
とはいえ、ビジネスの世界では「外見」が良くても「中身」が伴っていなければ意味がありません。 人間で言えば、どんなに元気そうに見えても体の中に病気”が隠れていたら大変ですよね。
そこで私たち投資家は、企業が本当に健康かどうかを見極めるために、会社の「健康診断書」をチェックするんです。
それが、今回見ていくのが「決算書」
さあ、この診断書を一緒に読み解いて、澁澤倉庫が本当に健全な優良企業なのか、調査していきましょう!
(データはIR BANKを基にしたものです。9304 澁澤倉庫 | 決算まとめ )
売上高
売上高(企業が製品やサービスの販売から得た収入)について見ていきましょう。

一部に減少は見られるものの、全体としては右肩上がりの美しいグラフですね。 コロナ禍以降、私たちの生活様式が大きく変わり、ネット通販(EC)の利用が拡大したことに伴い、
2024年の売上が前年より減少しているのは、コロナ禍の特殊要因が落ち着いたからです。世界的な「巣ごもり需要」でモノの輸送量が急増し、コンテナ不足から海上運賃が歴史的に高騰しました。2023年3月期までの好調は、ある意味で「ボーナス期間」だったわけです。
また、世界的な「荷物」の動きが鈍化したからです。
多くの企業がコロナにより多くの商品を仕入れてしまったため、コロナ終息後の反動により、倉庫がパンクしてしまいました。そして2023年から2024年にかけては、たまった在庫を消化する「在庫調整」の時期でした。
それにより、世界的にモノの輸送量が減少してしまったのです。
しかし、注目すべきは、国際輸送関連の売上が落ち着いても、会社全体の売上は高い水準を維持している点です。これは、特定の事業に依存せず、リスク分散がしっかりとできている証拠と言えるでしょう。高く評価できるポイントです。
営業利益と営業利益率
お金の効率よく稼いでいるかわかる営業利益・営業利益率(売上高からコストを引いて残った本業の儲け)について見ていきましょう。


グラフを見れば、リーマンショック後(2010年以降)、営業利益は着実に右肩上がりであることが分かります。
売上高の増加が、きちんと利益の増加に結びついている「質の高い成長」ができていることが分かります。
ここで面白いのが、2024年3月期の営業利益を見ると、物流事業が38億円に対して、不動産事業は33億円です。売上高では物流事業が9割を占めていましたが、営業利益では不動産事業が全体の4割以上を稼ぎ出しているのです。
ここからわかることは、物流事業では売上高の規模が大きいが、燃料費や人件費や設備費などのコストが大きいため、利益率が低いのです。
これは、物流事業が売上規模は大きいものの、燃料費や人件費などのコストがかかるため利益率が低めなのに対し、不動産事業は相対的にコストが少なく、高い利益率を誇ることを示しています。
まさにこれが、攻めの「物流」と守りの「不動産」が織りなす、安定成長のカラクリなのです。
一般的に物流・倉庫業界では営業利益率は3%~5%が「良好」とされています。すなわち5%以上の利益率をだす澁澤倉庫は非常に優秀な企業だといえます。
経常利益
会社全体の総合的な稼ぐ力を示す経常利益(本業の利益に、投資や利息などの本業以外の損益を加えたもの)を見ていきましょう。

コロナ禍の特殊要因(2022年、2023年)を除けば、安定的に成長していますね。
特に2022年度(2023年3月期)の経常利益は、他の年度と比較しても突出しています。
これは、本業の利益もさることながら、本業以外でも大きな利益が出たことを意味します。
詳しく説明すると、澁澤倉庫は日本の大手海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)が共同で設立したコンテナ船会社「Ocean Network Express (ONE)」の株式を保有しています。
そして2022年は、コロナ禍でコンテナ運賃が歴史的に高騰した「海運バブル」のまさにピークでした。ONE社は信じられないほどの利益を叩き出したのです。
澁澤倉庫は、その利益の一部を「持分法による投資利益」として、営業利益の外側(営業外収益)で受け取ります。これが「経常利益」を大きく押し上げました。
普段は数億円程度のこの利益が、この2022年度(2023年3月期)だけで、なんと約22億円も計上されたのです。
したがって、2022年以降の利益が減少して見えるのは、企業自身の問題というよりも、外部環境の変化が主な要因だったわけですね。まさに2022年度は特別なボーナスがあった、ということです。
配当金と配当性向
さあ、いよいよ本題の核心です。企業の、私たち投資家への愛情が分かる配当金(株主に還元する金額)と、その健全性が分かる配当性向(企業が得た利益の何割を株主に還元しているか)を見ていきましょう。


(2008年、2009年の投資情報がないので0としました。)
一株配当金をご覧ください。2010年と比較すると2026年の予想では配当金の額はなんと6倍近くに成長していることが分かります。見事な増配トレンドですね。
しかも、2023年に発表された中期経営計画では「配当性向を40%」「年間配当金100円を下限とし減配せずに配当維持または増配を目指す(累進配当)」と株主に力強く宣言しました。
これは、私たち株主にとって、「会社の利益を上がれば、そのうち約4割はしっかり還元します。そして、一度決めた配当(最低でも100円)から下げることはしません!」という、非常に心強い「約束」です。
これを実行するには、安定的に利益を稼ぎ続ける自信がなければできません。それを可能にするのが、守りの要である「不動産事業」なのです。
しかし、澁澤倉庫株主還元への意欲はここで終わりませんでした。
なんと2025年に中期経営計画の株主還元の方針を強化しました。
配当性向を50%に引き上げ、年間配当金140円を下限とする累進配当に切り替えたのです。
これは、会社の成長に対する絶対的な自信と株主還元へのより積極的な姿勢の表れとも言えるでしょう。
このように、会社が公式に「累進配当」を宣言することで、私たちは将来の配当収入を見通しやすくなり、安心して長期で投資を続けることができます。会社の有言実行ぶりに、今後も期待が高まりますね。
澁澤倉庫のここが強い!
財務の健全性は、いわば企業の「守りの強さ」。ここからは、将来の成長に繋がる「攻めの強さ」、そして注意すべき点(リスク)を大きな視点で見ていきまししょう。
強み①:攻めと守りを両立をする「二刀流ビジネス」
澁澤倉庫の最大の強みは、性格の異なる2つの事業を見事に両立させている点です。
攻めの「物流事業」ではEC市場の拡大など、時代の変化に対応しながら売上を伸ばす成長エンジン。好景気には大きく成長するポテンシャルを秘めています。
守りの「不動産事業」では 、景気の波に左右されにくい安定収益源。会社全体の利益を下支えする、盤石な土台の役割を果たしています。
この二刀流経営により、どんな経済状況でも安定して利益を生み出すことができるのです。
強み②:歴史が生んだ「都心一等地の優良資産」
不動産事業がなぜ強いのかと言えば、その理由は「立地」にあります。澁澤倉庫は、創業者である渋沢栄一の時代から、東京の日本橋歌舞伎町や大阪の道修町といった、今では簡単には手に入らない超一等地に多くの土地やビルを所有しています。
これは120年以上の歴史がもたらした、他社には決して真似できない圧倒的なアドバンテージです。この歴史的資産が、長期にわたって安定した高収益を生み出す源泉となっています。
強み③:未来を見据えた「積極的なIT・DX投資」
歴史ある会社ですが、決して古いだけの会社ではありません。「物流の2024年問題」や人手不足といった現代の課題に対応するため、最新鋭の倉庫ロボット「AirRob」を導入するなど、ITやDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資を積極的に行っています。
伝統を守りつつも、常に未来を見据えて変化を恐れない姿勢。これが、これからも企業として成長し続けるだろうという安心感に繋がっています。
投資家なら知っておきたい、3つのリスク
どんな優良企業にも、リスクは必ず存在します。それを正しく知ることが、私たちの投資の「武器」になります。
リスク①:景気変動による「物流事業」への影響
多くの企業に共通するリスクですが、澁澤倉庫の売上の大半を占める物流事業は、経済の動きと密接に連動しています。
景気が悪化して企業の生産活動や個人の消費が落ち込むと、運ぶ量そのものが減ってしまいます。そうなれば、当然ながら会社の売上や利益に直接的な影響が出ます。
盤石な不動産事業が利益を下支えするとはいえ、会社の成長エンジンである物流事業への影響は無視できません。
企業の対策
一つ目は、景気に比較的左右されにくい生活必需品(食品、アパレル、医薬品など)を扱う顧客の割合が高いことです。不況時にも需要がゼロにならないため、ダメージを和げるクッションとなります。
2つ目は積極的なDX(デジタルトランスフォーメーション)投資です。配車システムの最適化や倉庫の自動化を進めることで、少ない人数でも効率的に業務を回せる体制を構築。コスト競争力を高め、利益を確保しやすくしています。
リスク②:大地震などによる「不動産資産」へのダメージ
会社の強みである都心一等地の不動産資産は、裏を返せば「自然災害のリスク」と隣り合わせであることを意味します。
特に、首都直下地震のような大規模な災害が発生した場合、歴史あるビルや倉庫が損傷し、多額の修繕費用が発生したり、賃料収入が減少したりする可能性があります。
資産が特定のエリア(特に首都圏)に集中しているからこそのリスクと言えます。
企業の対策
所有するビルや倉庫に対しては、定期的な耐震診断と、基準を満たさない建物への耐震補強工事を順次実施しています。また、災害発生時の事業継続計画(BCP)を具体的に定め、複数の輸送ルートを確保するなど、物流を止めないための訓練も行っています。
歴史ある建物を大切にしながらも、現代の安全基準に合わせて資産の強靭化を図っているのです。
リスク③:「金利の上昇」による収益への影響
長年続いた日本の超低金利時代が終わり、今後、本格的に金利が上昇する局面になれば、澁澤倉庫にとって2つの面で逆風となる可能性があります。
一つ目は不動産市場が停滞することです。金利が上昇すると、家を借りたり購入する際に、ローンを利用します。そのローンの利息は金利によって左右されるので、金利が高ければ購入を断念することが多くなります。
二つ目は会社が銀行などからお金を借りている場合、支払う利息の負担が増えることです。
安定収益である不動産事業の魅力が、金利の動向次第で変化する可能性がある点は注意が必要です。
企業の対策
この点についても、澁澤倉庫の財務は堅牢です。利益をしっかりと内部に留保(貯金)し、総資産のうち返済不要な純資産の割合を示す「自己資本比率」を常に高い水準で維持しています。(2024年3月期時点で60%超と、一般的に健全とされる40%を大きく上回ります)
これにより、借入金に過度に依存しない「無借金に近い経営」を実現しており、金利が上昇しても経営が揺らぎにくい財務体質を構築しています。
最後に
長い分析に最後までお付き合いいただいてありがとうございます。この記事を通して、澁澤倉庫という企業の魅力に気づいていただけたなら幸いです。
短期的な株価の上下に一喜一憂するのではなく、企業の成長をじっくりと見守りながら、配当金という「金の果実」を長く受け取り続ける。そんな投資スタイルを目指す方にとって、この企業はとても魅力的なパートナー候補になりうるのではないでしょうか。
もちろん、どんな投資にもリスクはあり、将来を100%保証することは誰にもできません。この記事が、あなたが澁澤倉庫という企業を深く知り、ご自身の投資判断をする上での一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
ぜひ、ご自身の目でも、同社の公式サイトでIR情報などをチェックすることをおすすめします!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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